会社設立のメリットとデメリットを徹底解説!個人事業主との違いも解説

法人・個人事業主の税
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個人で事業を始めたり資産運用で収入を得る場合、個人事業主として事業を行うか、法人化して会社を設立する方法があります。最近では一人でビジネスを行う場合でも、新たに法人を設立して会社の代表として活動する人が増えています。

法人を設立するには費用や手間がかかり、関連する法律を理解する必要がありますが、それでも会社を設立して法人化することで税制上やその他の面で多くのメリットが得られます。この記事では、個人事業主と法人設立を比較し、それぞれのメリットとデメリットを紹介します。

会社を設立すると、法人格という法的な地位を得られます。法人としての立場を得ることで、個人事業主にはない恩恵を受けられるようになります。法人化することで得られるメリットには、税制優遇や社会的信用が含まれます。

信用を得やすい

会社設立後にすぐに変わるのは肩書です。個人事業主の場合、名刺には肩書きがないか、学位や資格の称号が付いた個人名が記されることが一般的です。法人化することで会社の代表という肩書が付き、社会的な信用が得られます。

会社を設立して法的に登記を行うことは、法令を順守し事業を運営している証拠となります。会社設立により、代表者や事業内容・資本金などの情報が法務局に登記され、取引先が自由に閲覧できるようになります。法人として法的に登録されていることは、安心して取引を行ってもらえるメリットがあります。

節税ができる

会社設立によって事業を運営することで、節税がしやすくなる利点があります。具体的な利点は以下の4点です。

  • 給与所得控除が適用される
  • 経費として認められる範囲が広がる
  • 税率が低い法人税が適用される
  • 消費税の免税が可能

個人事業主の場合、利益が全て課税対象となりますが、会社を設立して給料として受け取ることで自動的に給与所得控除が受けられます。収入から必要経費を差し引いた額を税務署に申告しますが、会社の方が経費として控除される範囲が広がります。一定以上の利益がある場合、法人税の税率は低く、設立後2年間は消費税の納税免除を受けられます。

融資や資金調達が行いやすくなる

小規模の事業でも資金が必要な場合があります。個人名義で銀行から借金する方法もありますが、法人名義の方が融資の審査に通りやすくなります。法人化すると個人の財産と会社の資金を明確に分ける必要があり、適切な資金管理が求められるからです。

会社を設立することで、銀行や個人からの借金だけでなく、新規株の発行で出資を募ったり、日本政策金融公庫や信用保証協会などを通じて低利で融資を受けることが可能になります。会社であれば国や自治体の融資制度も活用でき、法人格を得ることで資金調達の手段を増やしたり調達コストを下げる効果があります。

決算日を自由に決められる

個人事業主の場合、事業年度は1月から12月に限定されるため、決算期は12月末に固定されます。年末年始に売り上げが増える場合でも、12月31日を締日として利益を確定しなければなりません。会社を設立すると、繁忙期や節税を考慮して自由に決算日を設定し事業年度を定めることができます。

繁忙期に決算期を設定して会社の業績を良く見せるテクニックも存在します。日本では3月末を決算日とする会社が多いですが、他の時期を選んでいる法人もあります。決算期は非常に重要であり、事業年度を自由に決められることは大きなメリットです。

事業承継がしやすいこと

会社設立により、事業に用いる資金・資材・不動産などの資産が法人の所有物となります。個人と会社の所有物が明確に分かれることで、オーナー個人と会社を分けることができ、事業を他の人に譲渡しやすくなります。代表者が死亡した場合でも、会社の事業を続けることができます。個人事業主の場合、ビジネスに使用する資産は全て個人名義の財産なので、オーナーが亡くなると口座が凍結され事業が一時的に停止することがあります。

子供や他の親族に事業を譲る場合も、会社設立して法人化していれば代表者名の変更だけで済みます。事業承継時に法人が保有する資産の名義を変更する必要もありません。

個人事業主が会社を設立して法人化することで、信用力や資金調達、税金面でのメリットがありますが、デメリットも存在します。会社化することで生じる可能性のある不利益をいくつか紹介します。

社会保険への加入が義務付けられている

会社設立により法律上の義務が発生します。自分一人や家族経営の小規模事業でも、法人化して組織に所属するようになると社会保険への加入が義務付けられます。必ず加入しなければならないのは健康保険と厚生年金の2つで、国民健康保険・国民年金とは計算方法が異なります。

所得額によって保険料は異なりますが、健康保険や厚生年金の方が高くなることが一般的です。小規模な会社で他の人を雇う場合、会社と本人が保険料を半分ずつ負担します。会社設立により社会保険の負担が増加し、事業に影響が出る可能性があるため注意が必要です。

会社の設立に時間とコストがかかる

会社設立には必要な書類を作成し、法務局で登記手続きを行う必要があります。一部の司法書士や法律事務所では低料金で会社設立の代行を行っていますが、新たに株式会社を設立する場合、手数料だけで最低20万円がかかります。さらに必要な書類作成や資本金の用意も必要で、1週間以上の期間が必要です。

近年、会社設立のハードルは下がっていますが、一定の費用と時間が必要であることを覚悟する必要があります。ビジネスの規模が小さく所得が少ない場合、会社設立の費用が赤字の原因になる可能性があるため注意が必要です。

所得が赤字であっても法人住民税を払わないといけない

会社を設立することで経費の範囲が広がり、赤字でも法人税を納める必要がない恩恵を受けられますが、法人住民税は必ず支払わなければなりません。法人住民税とは法人が自治体に納税する税金で、個人が支払う住民税とは異なります。会社が赤字でも法人住民税は免除されないため、小規模法人にとっては大きな負担になることがあります。

法人住民税の税額は自治体や会社の規模によって異なりますが、東京都内では年額最低7万円の税金が必要です。自治体によって税額は異なるため、会社設立前に自治体のホームページで確認すると良いでしょう。

事務負担が増えること

会社を設立すると、組織運営のための事務手数料の負担が増加します。個人事業主であれば収入から必要経費を差し引いた分を利益として会計処理すれば済みますが、法人化すると法律に従って厳密に会計処理が求められます。税理士に会計処理を依頼する場合、個人事業主よりも法人の方が手数料が高くなります。

従業員を雇っている場合、社会保険や労災加入の費用や手続きの手間が発生します。株式会社の場合、株主総会開催や役員変更登記の手続きが必要になり、会社設立により事務手続きの手間やコストが増加します。

交際費に上限がある

会社設立により、事業に支出した費用が必要経費として認められやすくなるメリットがあります。取引先の接待に使用した交際費も経費に計上できますが、法人化した場合、交際費の上限が定められています。

個人事業主の場合、税務署が認める範囲で経費を計上できますが、法人の場合、交際費は法律で厳密に上限が定められています。資本金が1億円以下の会社であれば年額800万円までが交際費の上限です。月額に換算すると66万6千円で、規模の大きな会社でも交際費として認められる範囲は厳しいです。

個人事業主法人
設立のしかた登録不要。税務署などの
役所へ開業届を行う。
定款作成と登記が必要。
費用は20万円ほど。
事業年度1月から12月の暦年自由に選べる
代表者の扱い自らの給与は経費にならない代表取締役となって会社から給料(役員報酬)を受け取ることができる。
対外的信用
・イメージ
法人でないと取引に
応じてもらえないこともある。
個人事業主に比べ、対外的信用度が高く、企業イメージもよい。優秀な人材を確保しやすい。
赤字の繰越控除赤字の金額は翌年以後3年間の黒字金額から引くことができる(青色申告の場合)赤字の金額は翌事業年度以後9年間の黒字金額から引くことができる。
交通費の取り扱い業務の遂行上必要と認められるものについては経費計上が可能。期末資本金1億円以下の法人は、年間800万円までについては原則損金算入。
社会保険への加入原則として5名までは
社会保険の加入は自由
社長1人の会社でも
社会保険に加入しなければ
ならない。

会社設立と個人事業主の違いを以下の表にまとめました。事業の規模によっては法人化が節税になる場合があるため、ある程度の規模になった個人事業主は法人化を検討してみても良いでしょう。

会社設立のメリット・デメリットを解説しました。個人事業主として事業を続けるメリットもありますが、個人の裁量には限界があります。事業が成長し売上が増えると、信用面や節税面で会社設立がキャリアにプラスになることがあります。一方でデメリットも存在するため、各種メリット・デメリットを理解した上で会社設立を検討してみてください。

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