家族が亡くなった際の準確定申告を徹底解説:手続きの流れや必要書類、期限の確認【総合ガイド】

個人確定申告
この記事は約8分で読めます。

準確定申告とは、家族が亡くなったときに行う必要のある重要な税務手続きです。この手続きは通常の申告とは異なる点が多く、行わないと脱税を疑われる可能性があるだけでなく、追加の税金が課せられることもあるため、早めに対策を考える必要があります。本記事では、手続きの流れ、必要書類、期限、注意点について詳しく解説していきます。

準確定申告について詳しく見ていきましょう。これは、家族が亡くなったときに、遺族が故人の所得を申告するための手続きです。例えば、故人が自営業をしていたり、不動産収入があったりした場合には、準確定申告が求められます。

一般的に、故人が生前に確定申告を行っていた場合には、亡くなった後も遺族が引き続き申告を行う必要があります。この手続きを怠ると、税務署から調査が入る可能性があり、延滞税や加算税が課されるリスクがあります。

特に注意したいのは、準確定申告では所得控除が死亡日までの分しか計算に含まれないということです。相続人全員で手続きを行う必要があり、準備する書類も多岐にわたります。

参考: 国税庁のガイドライン No.2022 – 納税者が死亡したときの確定申告(準確定申告)

準確定申告を進める際に押さえておくべきポイントを順番に解説していきます。

1. 準確定申告の申告時期は相続の発生から4か月以内

準確定申告には申請期限が定められており、「相続があると認識した日から4か月以内」に行う必要があります。つまり、通常は故人が亡くなってから4か月以内に申告を完了させなければなりません。ただし、海外に出張していたなどの事情で、家族が亡くなったことを知らなかった場合は例外です。

2. 準確定申告は相続人全員で行わなければならない

相続人が複数いる場合、全員で準確定申告を行う必要があります。個別に申告する場合は、他の相続人に通知を行わなければならず、このようなケースは非常に稀です。通常、手間を省くために全員で協力して手続きを進めます。

3. 準確定申告による所得控除は死亡日までの計算

準確定申告における所得控除の計算は、故人の死亡日までの支払いに基づいて行われます。例えば、故人が支払った生命保険料や健康保険料、地震保険料などは死亡日時点までの金額が控除対象です。医療費も同様に控除されます。相続人が故人と同一の生計を立てている場合、故人の医療費を相続人の確定申告に含めることが可能です。また、故人の所得が48万円以下であれば扶養控除や配偶者控除を受けることもできます。

4. 準確定申告は故人の住所の管轄税務署に書面で提出

準確定申告を行う際は、提出先に注意が必要です。提出先は故人の住所を管轄する税務署であり、自分が住んでいる場所の税務署ではありません。この点を誤解しないように気をつけましょう。提出は郵送でも可能なので、遠方であっても対応できます。ただし、準確定申告はe-Taxでの提出ができず、書面での提出が必須です。通常の確定申告と同じ方法でe-Taxを利用しようとするとトラブルの原因となるため注意が必要です。

5. 還付金や所得控除の取り扱い

準確定申告における医療費控除は、故人が死亡日までに支払った医療費が対象となります。死亡後に相続人が支払った医療費は対象外です。未払いの医療費がある場合、事前に支払っておく必要があります。その他の社会保険料、生命保険料、地震保険料控除も同様に、死亡日までの支払いが控除対象となることに注意が必要です。配偶者控除や扶養控除も死亡日の状況に基づいて適用されます。

また、相続した税金については、特別措置として分割納付や納付延期が可能です。分割納付を希望する場合は、事前に税務署に相談することをおすすめします。

準確定申告が必要な場合と不要な場合について解説します。

準確定申告が必要なケース

  • 給与収入が2000万円を超える場合
  • 給与所得、退職所得以外の所得合計が20万円を超える場合
  • 複数の勤務先から給与を受け取っている場合
  • 公的年金による収入が400万円を超える場合
  • 公的年金収入が400万円以下でも、その他の所得金額が20万円を超える場合
  • 生命保険の満期金や一時金を受け取った場合
  • 土地や建物を売却した場合
  • 事業所得や不動産所得がある場合

準確定申告が必要なのは、故人に20万円以上の事業所得や不動産所得があった場合です。故人が生前に確定申告を行っていた場合は、通常、準確定申告も必要です。給与所得があり、源泉徴収されている場合も同様です。

準確定申告が不要なケース

  • 故人が会社員やアルバイトで、単一の勤務先から給与を受け取っていた場合
  • 年金受給者で、その年の1月1日から相続開始時までの受給額が400万円以下であり、年金以外の所得の合計が20万円以下の場合

準確定申告が不要な場合もあります。例えば、亡くなった方が会社員やアルバイトとして働いていた場合や、収入が一定以下(所得が20万円以下)である場合です。また、自身が相続を放棄した場合も準確定申告は不要となります。

準確定申告が不要だが行うべきケース

  • 給与所得または年金所得者で源泉徴収されている所得税がある場合
  • 10万円を超える高額の医療費を支払った場合(死亡日までに支払ったものが対象)
  • 配偶者控除、扶養控除、雑損控除、寄附金控除などの控除がある場合(配偶者控除や扶養控除は死亡日の状況で判断)

以上のように、準確定申告が不要なケースもありますが、各種控除を受けたい場合には申告を行うべきです。また、源泉徴収された所得税がある場合や、高額な医療費を支払った場合も準確定申告を行うと良いでしょう。

準確定申告を進める手順と必要書類について詳しく説明します。

相続人の代表を決める

相続人が多い場合は、準確定申告を行うために、まず相続の代表者を選ぶ必要があります。通常、相続割合が最も多い長男などが代表者となります。この代表者が確定申告書の作成などを責任を持って行います。

また、必要な書類もこの代表者が集めることになります。代表者には多くの責任が伴いますが、確定申告書の作成においては自分の意向を反映しやすいという利点もあります。

相続人の責任者は自動的に決まることが多いですが、代表者を決める際に意見が分かれることもあります。このため、期限内に手続きを完了できないケースも少なくありません。そのような場合は、まず税務署に連絡を入れることが重要です。

必要な書類を入手する

準確定申告を行う際に必要な書類は確定申告書です。これは国税庁のホームページからダウンロード可能です。また、故人の給与や年金の源泉徴収票も必要です。その他、生命保険を契約している場合は控除証明書が必要です。相続人が2人以上いる場合は確定申告書の付表(国税庁のホームページからダウンロード可能)も用意する必要があります。

医療費控除を申請する場合には、医療費の領収証も必要です。このように多くの書類が必要となるため、しっかりと準備を進めましょう。確定申告書はダウンロードのほか、税務署に問い合わせれば郵送してもらうことも可能ですし、窓口で受け取ることもできます。生命保険の控除証明書は保険会社に連絡して取得します。

書類を作成する

準確定申告時に作成すべき書類は、基本的に確定申告書です。確定申告書は通常の確定申告と同じように作成できますが、故人の情報であるため、不明点が出てくることがあります。このため、昨年の確定申告の控えがあると非常に役立ちます。

相続人が複数いる場合、申告書とともに確定申告書の付表も必要です。付表には相続人全員の署名と捺印が求められます。また、相続分の割合も記載する必要があります。各相続人の本人確認書類も必要です。これだけの書類を準備するには時間がかかるため、余裕をもって取り組むことが重要です。

忙しかったり、知識が不足していたりして自分で作成できない場合は、税理士に依頼することも可能です。特に想定納税額が多い場合は、記載ミスを避けるために専門家に依頼することをおすすめします。

申告書を提出する

準確定申告に関する書類を整えたら、最終チェックを行い提出します。不安がある場合は、提出前に税務署に問い合わせると良いでしょう。書類に不備がある場合は再提出が必要になることもあるため、事前に確認しておくことが大切です。相談は最寄りの税務署で行うことも可能です。

提出する際は、書留を利用するのが良いでしょう。レターパックライト・プラスを利用することもできます。重要な書類を送るので、必ず追跡できる方法で送付してください。提出日は郵便局の消印日となります。もし期限に間に合わない場合や遅れそうな場合は、その旨を税務署に連絡しておきましょう。これにより延滞税などが免除されることがあります。

最後に、準確定申告に関するよくある質問とその回答をまとめます。

手続きを税理士に依頼できる?

準確定申告は通常の確定申告と比べて必要書類が多く、手続きの完了までの期間も4か月と限られています。このため、申告書の作成に自信がない場合は、税理士などの専門家に相談することが可能です。

税理士に準確定申告の手続きを依頼する際は、税務代理権限証書の提出が必須です。この証書がないと税理士は代理人として認められず、手続きを代行できません。事前に準備を整えて、スムーズに申告を進めるように心がけましょう。

準確定申告をしないとどうなる?

準確定申告の期限は、相続が開始したことを知った翌日から4ヶ月以内です。この期限を過ぎると、加算税や延滞税といった追加の税金が発生する可能性があるため、期限内に申告することが重要です。

準確定申告を怠ると、本来受け取れるはずの還付金を逃す可能性もあります。納税が必要な場合だけでなく、還付金を受け取る可能性がある場合にも、準確定申告を行うことが推奨されます。期限内にしっかりと申告を行い、権利を確実に受け取るようにしましょう。

この記事では準確定申告について詳しく解説しました。準確定申告は所得控除の取り扱いが特殊で、通常の確定申告とは異なる点が多いため注意が必要です。特に相続人が複数いる場合は、代表者の決定などでトラブルが起こることもあるため注意が必要です。連署が必要となるため、余計な手間も発生します。特に申請期限内に提出することが重要です。

また、準確定申告を行わないと、追加の加算税や延滞税がかかる可能性があります。もし準確定申告を避けたい場合は、相続放棄の手続きを検討することも一つの方法です。いずれにしても、準確定申告には独自の注意点があるため、実際に行う際には税理士と相談しながら進めることをおすすめします。

理想の税理士を探すなら「税理士紹介をぶっ壊す」

  • 税理士紹介サイトに騙されたくない
  • 顧問料に応じた税務サービスを受けたい
  • 税理士の人となりを自分の目で見て選びたい

「税理士紹介をぶっ壊す」では、このようなご要望をお持ちの方のための税理士検索サービスを提供しております。

税理士紹介サイトの「闇」を知らずに税理士を探される方もいるでしょう。

当サービスでは、本当の意味で、あなたにとって理想の税理士に出会うことが可能です。無料で今すぐ検索できるので、お気軽にご利用ください。

タイトルとURLをコピーしました