年金受給者の確定申告義務について徹底解説:必要な場合と不要な場合

個人確定申告
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年金を受け取っている人は、基本的に確定申告が必要です。しかし、公的年金を受給している人の中には、申告が不要なケースも存在します。この記事では、確定申告が必要な場合と不要な場合、確定申告不要制度の詳細、確定申告に必要な書類について詳しく説明します。

年金を受け取る人は確定申告が必要なのか?という疑問にお答えします。基本的には、年金受給者は確定申告を行う必要があります。ただし、年金受給者の中には申告が不要なケースもあるのが現実です。この記事では、確定申告が必要な場合と不要な場合、確定申告不要制度の基本事項、そして確定申告に必要な書類について詳しく解説していきます。

基本的に、年金受給者は確定申告を行わなければなりません。年金受給者とは、公的年金を受け取る人のことを指します。公的年金には「老齢年金」「障害年金」「遺族年金」の3つのタイプがあり、確定申告が必要かどうかは、課税される公的年金の金額や、その他の所得金額により決まります。

確定申告が必要なケース

年金を受け取る人で、確定申告が必要となるケースは以下の通りです。

  • 年間20万円を超える公的年金以外の所得がある
  • 年間400万円以上の公的年金を受け取っている

【参考:国税庁|公的年金等の課税関係】(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm)
公的年金以外の所得が年間20万円を超える場合や、公的年金を年間400万円以上受け取る場合には、確定申告を行い納税する必要がありますので、ご注意ください。

確定申告が不要なケース

年金を受け取る人で、確定申告が不要な場合は以下の通りです。

  • 源泉徴収の対象となる公的老齢年金の収入が400万円以下
  • 公的年金以外の所得が20万円以下

【参考:国税庁|公的年金等の課税関係】(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm)
上記に該当する人は、年金を受け取っていても確定申告は不要です。ただし、その他の雑所得があり、その額が20万円以下で確定申告が不要な場合でも、住民税の申告が必要になることがありますので注意が必要です。詳細は、お住まいの自治体の窓口でご確認ください。

確定申告不要制度とは、年間の公的年金収入が400万円以下で、その他の所得が20万円以下の場合に確定申告が不要となる制度です。公的年金は「雑所得」として課税対象となり、原則として確定申告が必要です。しかし、年金受給者の申告の負担を軽減するために、この制度が設けられています。

確定申告不要制度の対象者判定方法

確定申告不要制度の対象となる条件は次の通りです。

  • 公的年金等の合計所得が年400万円以下で、全ての所得が源泉徴収の対象
  • 公的年金以外の所得が20万円以下

「公的年金等の合計所得が年400万円以下」とは、老齢基礎年金、厚生年金、共済年金、iDeCoの給付金などを合算した額で判定します。加えて、確定申告不要制度の対象になるには、公的年金等の収入全てが源泉徴収されていることが条件です。これは、源泉徴収によって事前に所得税を差し引いて支給するため、所得税の納付が不要になるからです。

確定申告不要制度の注意点

確定申告不要制度の対象であっても、住民税の申告が必要な場合もあります。例えば、公的年金等の所得に対して「公的年金等の源泉徴収票」に記載されていない控除を適用する場合、住民税の申告が求められます。また、公的年金以外にパートや再雇用で給与がある場合は確定申告が必要となりますので注意が必要です。

確定申告不要制度の対象者で、確定申告が不要な場合でも、確定申告を行うことで税金が還付される場合があります。払い過ぎた税金を戻してもらうには、確定申告が必要です。年金を受け取る方でも、次の場合に確定申告をすることで還付を受けられる可能性があります。

家族構成の変化

家族構成が変わった場合、確定申告を行うことで払い過ぎた税金が返ってくる可能性があります。例えば、離婚や死別した場合、一定の要件を満たせば「寡婦控除」として27万円の控除が受けられる場合があります。また、親族を扶養することになった場合には、「扶養控除」として16歳以上18歳以下、23歳以上69歳以下で38万円、特定扶養親族の19歳以上23歳未満で63万円の控除が可能です。

医療費の支払い

年間の医療費が10万円を超えた場合(総所得金額が200万円未満の場合は総所得金額の5%を超える)、医療費控除が受けられる可能性があります。医療費控除の上限は200万円です。20万円または総所得金額の5%を超えた場合、その超過額が医療費控除の対象となり、税金が返ってくる仕組みです。年金から源泉徴収税が引かれている場合は、医療費控除を積極的に活用して、払い過ぎた税金を取り戻しましょう。医療費控除を受ける際には、領収書を支払い証明として保管しておく必要があります。

社会保険料・生命保険料・地震保険料の支払い

社会保険料、生命保険料、地震保険料を支払っている場合、それぞれに応じた額が控除金額になります。この控除は家族分の保険料も対象です。社会保険料を支払っている場合、その全額が控除対象となり、生命保険料および地震保険料については、最大17万円の控除が受けられるため、所得税が還付される可能性があります。

災害または盗難にあった

災害や盗難に遭った場合、雑損控除を受けることができます。雑損控除の金額は、「(損害額+災害関連支出の額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%」と「(災害関連支出の額-保険金等の額)-5万円」のどちらか大きい方です。

【参考:国税庁|災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)】(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1110.htm)

住宅ローンを利用してマイホームの購入またはリフォームをした

住宅ローンを利用してマイホームの購入やリフォームをした場合も、過払いした税金が返ってくる可能性が高いです。マイホームを購入した際は、「住宅借入金特別控除」が適用され、その後10〜13年にわたりローン残高の0.7%の控除を受けられます。リフォームの場合は「特定増改築住宅借入金等特別控除」が適用され、同じく10年にわたってローン残高の0.7%の控除を受けられます。

扶養親族等申告書を提出していない

扶養親族等申告書を提出していない場合も、過払いした税金が返ってくる可能性があります。公的年金等を受給している人には、源泉徴収の対象となる場合、「扶養親族等申告書」が送付されます。この申告書は、年金から源泉徴収される所得税に対して、配偶者控除などを適用するために必要です。扶養親族等申告書を提出していなくても、確定申告をすることで払い過ぎた税金が戻ってきます。

確定申告を行う際は、様々な書類が必要です。これらの書類は、申告者全員が必要な書類と、収入および所得控除に関する書類に分類されます。

申告者全員が必要な書類

年金受給者に限らず、申告者全員に必要な書類は次の4点です。

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、健康保険証、パスポートなど)
  • 確定申告書(「第一表」と「第二表」)
  • 利用者識別番号(e-Taxで電子申告をするために必要な個人の識別番号)
  • 銀行口座がわかるもの(通帳やキャッシュカード)

これらの書類は必ず用意する必要があります。

収入に関する書類

収入に関する必要な書類は以下の2つです。

  • 収支内訳書
  • 源泉徴収票

2019年の申告から源泉徴収票の添付と保存は不要となりましたが、適切に保管しておくことをおすすめします。これは、住宅ローンやリフォームを行う際に、所得の証明として源泉徴収票の提出が求められることが多いためです。また、青色申告をする場合は、上記の2点に加えて「青色申告決算書」を提出する必要があります。

所得控除に関する書類

所得控除を受ける際には、控除に応じて次の書類を準備する必要があります。

  • 医療費控除:医療費の明細書、領収書
  • 社会保険料控除:社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
  • 生命保険料控除、地震保険料控除:保険会社が発行する控除証明書
  • 寄附金控除:寄付金受領証明書
  • 小規模企業共済等掛金控除:小規模企業共済等掛金払込証明書

このガイドでは、確定申告が必要な場合と不要な場合、確定申告不要制度の概要、そして申告に必要な書類について詳しく解説しました。年金受給者は基本的に確定申告が必要ですが、不要なケースもあります。ただし、確定申告を行うことで払い過ぎた税金が返還される可能性もあります。各種控除を受けるためには確定申告が必須です。申告のし忘れや控除漏れがないよう、必ず申告を行いましょう。

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