不動産売却時の確定申告を完全ガイド!手続き、必要書類、特例まで徹底解説

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不動産売却を行った際の確定申告について詳しく解説します。確定申告が必要なケースや不要なケース、申告の具体的な手順、必要書類、さらに譲渡所得に関する特例まで網羅しました。複雑な手続きをスムーズに進めるためのポイントも解説しています。不動産売却に関連する税務についての不安を解消し、安心して申告できるよう、ぜひ最後までお読みください。

確定申告が必要なケース

不動産売却によって所得を得た場合、確定申告は原則として必要です。この所得は「譲渡所得」として扱われ、計算式は以下の通りです:

譲渡所得=不動産売却収入-取得費-譲渡費用-特別控除

  • 取得費には、不動産購入代金、建築費用、設備費、改良費などが含まれます。
  • 譲渡費用には、不動産会社への仲介手数料、売却時の印紙税、解体費用、立退料などが含まれます。
  • 特別控除を利用する場合や損益通算をする際も確定申告が必要です。申告しないと税制優遇を受けられないため、注意が必要です。

確定申告が不要なケース

一方、次の場合は確定申告が不要です:

  • 売却で利益が出ず、取得費や譲渡費用が収入を上回った場合
  • 利益が出ていないため、税金が発生しないケース。

不動産売却の損益が不明確な場合でも、詳細な計算を行い適切な申告を行うことをお勧めします。


確定申告の手順

不動産売却時の確定申告は以下の手順で進めます:

  1. 必要書類を用意:譲渡所得の内訳書や売買契約書などを準備します。
  2. 譲渡所得の計算:取得費や譲渡費用を正確に計上し、所得を算出します。
  3. 確定申告書の作成:税務署や国税庁サイトからフォーマットをダウンロードし記入します。
  4. 税務署に提出:提出は窓口、郵送、e-Taxのいずれかで行います。
  5. 納税:所得税と復興特別所得税を3月15日までに納付します。

確定申告の時期

不動産売却の確定申告期間は通常、2月16日から3月15日です。ただし、以下の場合には申告時期が異なることがあります:

  • 引渡し時期:譲渡所得は物件を引き渡した年の所得として申告します。例えば、2023年2月に引渡しの場合、2024年の確定申告対象となります。
  • 休日の影響:申告期限が土日祝日にあたる場合、翌営業日が締切です。
  • 災害時の特例:震災などで期限延長が認められることもあります。詳細は税務署の最新情報を確認してください。

参考:令和6年能登半島地震に関するお知らせ(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/saigai/r6/noto/index.htm)


不動産売却時の確定申告に必要な書類について、最新の情報も含めて詳しく解説します。必要書類の内容や取得方法を正確に把握しておきましょう。

  1. 譲渡所得の内訳書
  2. 不動産売却に関する書類
  3. 確定申告書
  4. 登記事項証明書
  5. 書類準備のポイントと注意事項

1. 譲渡所得の内訳書

不動産売却で得た譲渡所得を正確に申告するためには、「譲渡所得の内訳書」の提出が必要です。この書類には売却した不動産に関する詳細情報を記載します。 「総合譲渡用」「分離課税用」 の2種類がありますが、不動産売却の場合は 分離課税用 を使用します。

【取得方法】

  • 税務署で入手
    各地域の税務署窓口で無料で配布しています。
  • オンラインダウンロード
    国税庁の公式サイトからも簡単にダウンロード可能です。印刷して使用できます。
    譲渡所得の内訳書

【最新情報】

2024年度からは電子申告(e-Tax)の普及が進んでおり、譲渡所得の内訳書もデジタル形式で提出可能です。e-Taxを利用することで郵送や窓口での手続きが不要になり、利便性が向上しています。

2.  不動産売却に関する書類

確定申告では、以下の不動産売却関連書類を揃える必要があります。これらの書類は、特別控除や損益通算の適用を受けるためにも重要です。

【必要書類一覧】

  • 売買契約書(購入時・売却時)
    購入時と売却時の契約書を両方用意してください。売却金額や購入価格の記録が必要です。
  • 不動産売却時の経費の領収書
    仲介手数料や測量費など、売却に関連する経費の領収書を保管しておきましょう。
  • 戸籍の附票
    不動産が相続による場合に必要です。市区町村の窓口で取得可能です。
  • 耐震基準適合証明書・建設住宅性能評価書
    築年数の条件により適用される特例措置の申請時に必要です。
  • 買換え資産の明細書
    買い替えを伴う売却時に準備が必要です。

【最新情報】

近年、マイナンバー制度の活用が進んでおり、一部書類が不要になる場合があります。ただし、特別控除の申請時には引き続きこれらの書類が必要な場合が多いため、国税庁のチェックシートで最新の情報を確認してください。
申告書添付書類チェックシート

3. 確定申告書

不動産売却による所得税の申告には、以下の確定申告書を準備します。

【種類と用途】

  • 所得税及び復興特別所得税の確定申告書(第一表・第二表)
    一般的な所得申告に使用します。
  • 分離課税用の申告書(第三表)
    不動産売却による譲渡所得を申告するために使用します。

【取得方法】

4. 登記事項証明書

登記事項証明書は、不動産の所在地や所有者情報が記載された書類です。不動産売却時に正確な情報を申告するためには、この証明書が必要となります。

【取得方法】

  • 法務局の窓口で申請
    近隣の法務局窓口で申請書を提出することで取得可能です。
  • オンライン申請
    法務省の公式サイトからオンラインで交付請求を行うこともできます。
    法務局 オンライン申請のご案内

【注意点】

  1. 書類の原本を保管する
    提出時にはコピーを用いる場合が多いですが、原本は必ず保管してください。
  2. 早めの準備を心掛ける
    売却後すぐに必要書類を集め始めると、確定申告時に慌てずに済みます。
  3. 専門家に相談する
    書類の不足や記入漏れが発生すると、税務調査の対象になる可能性があります。不明点がある場合は税理士に相談しましょう。

自宅として使用していた不動産を売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除する特例が適用されます。この特例を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

  • 居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除
  • 居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例
  • 居住用財産を買換えた場合の特例
  • 被相続人の居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除

・居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除

自宅として使用していた不動産を売却する場合、譲渡所得から最大3,000万円を控除する特例が適用されます。この特例を利用するには、以下の条件を満たす必要があります。

特例適用の条件

  1. 自宅の売却であること
    自宅とともに敷地や借地権を売却した場合も対象です。
  2. 取り壊し後の売却も可能
    • 自宅を取り壊してから譲渡契約を締結する場合は、取り壊し日から1年以内に契約を結び、かつ、住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却する必要があります。
    • この期間中、土地を第三者に貸し出していないことも条件です。
  3. 申請制限の有無
    • 前年・前々年に別の特例(買換えの特例や収用等の特例)を利用していないこと。
    • 売却相手が親子や配偶者など特別な関係者でないこと。

特例利用の具体例

例えば、譲渡所得が4,000万円の場合、3,000万円を控除後の課税対象は1,000万円になります。この特例だけでも納税額が大幅に減少します。

・居住用財産を売却した場合の軽減税率の特例

10年以上居住したマイホームを売却する場合、軽減税率が適用されます。これにより、高額の譲渡所得でも通常の税率より低い税率で課税されるため、節税効果が高まります。

適用条件

  1. 日本国内の不動産であること。
  2. 所有期間が10年以上であること。
  3. 売却相手が親族など特別な関係者でないこと。
  4. 過去2年間にこの特例を利用していないこと。

取り壊し後の適用条件

自宅を取り壊して売却する場合、取り壊し日から1年以内に譲渡契約を結び、かつ住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却する必要があります。この間、土地の貸出は禁止です。

軽減税率の仕組み

譲渡所得の6,000万円以下部分には10%、6,000万円を超える部分には15%の税率が適用されます(復興特別所得税を除く)。詳細は、国税庁の軽減税率計算ツールを活用してください。

参考:マイホーム売却時の軽減税率の特例

・居住用財産を買換えた場合の特例

自宅の買い替えを目的として不動産を売却した場合、譲渡所得を次の住宅購入時まで繰り延べることが可能です。

特例の概要

  • 買い替えにより発生した譲渡所得は、新居を売却するまで課税が猶予されます。
  • この特例は2023年12月31日までの売却に適用されます。

申請時の注意点

2024年以降に建設された住宅を購入する場合、追加の証明書類が必要となる可能性があります。適用条件や必要書類は国税庁の最新情報を確認してください。

参考:特定のマイホームを買い換えたときの特例

・被相続人の居住用財産を売却した場合の3,000万円の特別控除

被相続人から相続または遺贈によって取得した居住用財産を売却した場合も、譲渡所得から最大3,000万円の控除を受けられます。この制度は2027年12月31日まで適用されます。

2024年以降の新ルール

2024年1月1日以降、不動産の売却で相続人が複数人いる場合、控除額の上限が変更されます。具体的には、相続人が3人以上いる場合、控除額は2,000万円に減額されます。

対象となる家屋の条件

  • 建築年月日が1981年5月31日以前。
  • 区分所有建物登記がされていないこと。
  • 被相続人以外が相続開始時に居住していなかったこと。

不動産を売却して利益が出た場合、確定申告は必須です。売却益が出なくても、損益通算を利用して他の所得と相殺する場合にも申告が必要です。譲渡費用や特別控除を正しく差し引き、納税額を最小化する手続きが重要です。必要書類や申告方法を事前に確認し、準備を進めましょう。

不動産売却時の税制優遇措置を活用すれば、大幅な節税が可能です。各特例の適用条件や手続きについて十分に理解し、漏れのないように確定申告を行いましょう。特に2024年以降の変更点については早めに対応を進めることをおすすめします。税理士の専門的なサポートを受けることで、さらに安心して手続きが進められるでしょう。

・ポイント

  • 税務署相談:初めての方は税務署の相談窓口を活用してください。

税理士の活用:手続きが煩雑な場合、税理士に依頼するとスムーズです。費用対効果を考慮し、複雑な案件にはプロのサポートを検討しましょう。

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