確定申告における還付金とは、源泉徴収や予定納税などですでに支払った税額が実際の所得税額を上回っている場合に返還される金額のことです。本記事では、確定申告で還付金を受け取る際の計算方法や受け取り方、受け取り時期について詳しく解説します。
既に支払った源泉徴収や予定納税の額が、実際の所得税額より多い場合、確定申告をすることで払いすぎた分が返ってきます。この返金されるお金を、確定申告での還付金といいます。「還付金はいつ返ってくるのか」「どのように受け取るのか」と疑問を抱く方も多いでしょう。この記事では、還付金についての計算方法や受け取り方、受け取りのタイミングなどを詳しく説明します。
還付金とは
確定申告における還付金は、すでに納めた税額が実際の所得税額を超えている場合に返金される金額を指します。払いすぎた分が還付金として戻ってくるイメージです。
還付金を受け取る方法
還付金を受け取るには、所得税の確定申告が必要です。次に説明する「還付金の申告手順」に沿って確定申告を進めます。還付金の受け取り方には「自分の口座で受け取る」「郵便局の窓口で受け取る」の2通りがあります。確定申告の内容に問題がなければ、申告後1ヶ月〜1ヶ月半ほどで還付金を受け取れます。
還付金の申告手順
税額の計算方法や確定申告書の作成手順に大きな違いはありません。通常の方法で確定申告を進めましょう。計算の結果、納付する税額がマイナスになった場合は還付金が発生します。還付金を受け取るには「還付される税金の受取場所」欄に還付金の振込先の記入が必要です。「還付される税金の受取場所」欄を含めすべての記入が完了したら、自身の納税地を管轄する税務署へ確定申告書を提出します。あとは還付金の振り込み、もしくは郵便局での受け取りに必要な「国庫金送金通知書」の到着を待つだけです。なお、申告内容に誤りがある場合は税務署から連絡が来る可能性があります。税務署から確認の連絡や修正の指示があればすぐに対応しましょう。
確定申告で還付金が発給されるケース
確定申告で還付金が発給されるケースとして、主に以下の3つがあります。それぞれを詳しく解説します。
納付済みの源泉徴収税の金額が確定した所得税の税金額を上回る場合
確定申告で還付金が発給される1つ目のケースは、既に支払った源泉徴収税の金額が確定した所得税額を上回る場合です。原稿料やデザイン料など一部の報酬や料金は、受取人が個人の場合には源泉徴収を行う必要があります。このため、これらの業務を行う個人事業主は、源泉徴収によって概算の所得税を既に納めています。徴収された税額がその年の所得税額よりも多い場合、過剰に納めた分が還付金として返金されます。
所得税の予定納税額が確定した税金額を超える場合
2つ目のケースは、所得税の予定納税額が最終的に確定した税額を上回っている場合です。予定納税とは、予定納税基準額が15万円を超える際に、その年の所得税および復興特別所得税の一部を事前に納付する制度です。一般的に、その年の5月15日時点で確定している前年分の申告納税額が予定納税基準額となります。前年分の申告納税額が一定額を超えると予定納税が必要になるイメージです。前年と比べて所得が減少した、または各種控除の適用により税額が低くなったなどの理由から、予定納税額がその年の所得税額を超える場合があります。この場合、予定納税で払いすぎた分が還付金として戻ってきます。
年末調整の適用漏れで控除を受ける場合
3つ目のケースは、年末調整で適用されなかった控除がある場合です。通常、所得が1か所からの給与のみの場合、年末調整で所得税の精算が行われるため確定申告は不要です。しかし、年末調整では一部の所得控除や税額控除の適用ができません。年末調整で適用できなかった控除を受けるためには、確定申告が必要です。控除の適用により所得税額が低くなります。年末調整によって確定した所得税額と控除適用後の所得税額の差額が、還付金として返ってくるイメージです。年末調整で適用を受けられない控除の具体例を3つ紹介します。
雑損控除
雑損控除とは、災害や盗難などによって資産に損害を受けた場合に適用される所得控除です。控除額は以下のいずれか大きい方の金額となります。
- (損害金額+災害等関連支出の金額-保険金等の額)-(総所得金額等)×10%
- (災害関連支出の金額-保険金等の額)-5万円
なお、控除対象になるのは、自然災害・火災や火薬類の爆発等人為的で異常な被害・害虫による異常な被害・盗難・横領等が挙げられます。詐欺や恐喝は雑損控除の対象になりません。
寄付金控除
寄付金控除とは、特定寄附金に該当する寄附を行った場合に受けられる控除です。主な例として、国や地方公共団体、特定公益増進法人などに対する寄附が挙げられます。控除額は、以下のいずれか低い方の金額から2,000円を引いた額です。
- その年に支出した特定寄附金の額の合計額
- その年の総所得金額等の40%相当額
医療費控除
医療費控除とは、納税者本人または自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費が一定額を超える場合に受けられる所得控除です。原則として、病気や怪我の治療に直接要した医療費のみが対象です。美容目的の医療費や予防・健康増進目的の医薬品購入費、疾病が発見されなかった場合の人間ドックや健康診断費用は医療費控除の対象になりません。医療費控除額の計算式は以下の通りです。
(実際に支払った医療費の合計額-保険金などで補てんされる金額)-10万円
保険金などで補てんされる金額として、生命保険等による入院費の給付金や、高額療養費・家族療養費・出産育児一時金が挙げられます。実際に払った医療費が50万円、保険により補てんされる金額が15万円の場合の医療費控除額は以下の通りです。
(50万円-15万円)-10万円=25万円
なお、医療費控除の最高額は200万円です。また、その年の総所得金額等が200万円未満の場合、総所得金額等の5%の金額が医療費控除額となります。
確定申告の還付金はいくらになるか?
この章では、確定申告による還付金がいくらになるか計算する方法について解説します。
還付金の計算方法
確定申告による還付金の額の計算方法は以下の通りです。
既に支払った税額-所得税額=還付金
そもそも所得税額は、総所得金額から所得控除額を差し引いた課税所得額に、一定の税率をかけて算出します。税額控除がある場合には、算出した税額から税額控除を差し引く必要があります。税額控除を差し引いた後の最終的な金額が所得税額です。前章で紹介した「納付済みの源泉徴収税の金額が確定した所得税の税金額を上回るケース」に当てはまる場合、還付金は以下のように計算します。
源泉徴収額-所得税額=還付金
「所得税の予定納税額が確定した税金額を超えているケース」に該当する場合の計算式は以下の通りです。
予定納税額-所得税額=還付金
「年末調整の適用漏れで受けられなかった控除を受けるケース」の場合も、基本的な考え方は同じです。以下のように計算を行います。
年末調整によって確定した税額-年末調整で受けられなかった控除を計算に含めた所得税額=還付金
確定申告の還付金の受け取り方法と時期
この章では、確定申告による還付金を受け取る方法や、還付金の受け取り時期について解説します。
受け取り方法
還付金を受け取る方法は2種類あります。
1つ目は、自分の口座に振り込んでもらう方法です。確定申告書の第一表の右下のあたりには「還付される税金の受取場所」について記入する欄が設けられています。この欄に振込みを希望する金融機関名や支店名・口座番号を記入すれば、自分の口座に振り込んでもらうことが可能です。銀行以外にも信用金庫や農協・漁協などの口座にも対応しています。なお、口座番号などをここで間違えると後々のトラブルになるため、記入後はしっかりとチェックしましょう。
2つ目は、郵便局の窓口で受け取る方法です。郵便局の窓口で受け取る場合にも、「還付される税金の受取場所」欄への記入が必要となります。「郵便局名等」の欄に受け取りを希望する郵便局名あるいはゆうちょ銀行名を書きましょう。場所の指定は特にないため、自分の利用しやすい郵便局やゆうちょ銀行を指定するのがおすすめです。還付金を受け取る際には、国庫金送金通知書と、運転免許証やパスポート・マイナンバーカード等の本人確認書類を持参する必要があります。
還付金が振り込まれない場合
還付金が支払われることがわかっているにも関わらず振り込みがないと、本当に振り込まれるのか心配になってしまうでしょう。前提として、確定申告が完了してから還付金が振り込まれるまでに1ヶ月前後はかかります。また、確定申告を行う時期が締切間近になると、税務署で処理する件数が増えるため、処理に時間がかかる傾向があります。ある程度は時間がかかるものと押さえ、慌てず待つことも大切です。後述する受け取り時期を大幅に過ぎても振り込まれない場合や、「国税還付金振込通知書」が届いたにもかかわらず振り込まれない場合には、何らかのトラブルが発生している可能性があります。そのような場合は税務署に問い合わせてみるのが良いでしょう。なお、e-Taxで確定申告をした場合、還付金の処理状況をWeb上で確認できます。
受け取り時期
確定申告による還付金を受け取れる時期は、以下のように確定申告の方法によって異なります。
- 確定申告を郵送または税務署へ直接持参して提出した場合:提出日から1ヶ月~1ヶ月半後
- 確定申告をe-Taxで行った場合:提出日から約3週間後
できるだけ早く還付金を受け取りたいのであれば、還付金の振込がより早く行われるe-Taxを利用するのがおすすめです。e-Taxで確定申告をした場合、申告から約2週間経つと還付の処理状況をリアルタイムで確認できるようになるため、還付金に関する疑問や不安を軽減できます。
まとめ
還付金を受け取るためには確定申告が必要です。確定申告書の所定の欄に、還付金の受け取り場所を忘れずに記入しましょう。確定申告書を郵送または持参して提出した場合、提出日から1ヶ月~1ヶ月半程度で還付金を受け取れます。e-Taxによる提出の場合、提出日から約3週間後に還付金が振り込まれます。還付金を早く受け取りたいなら、e-Taxの利用がおすすめです。還付金を受け取るため、今回紹介した内容を押さえて確定申告を正しく行いましょう。
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