所得税は、納税者が自身の収入と税額を計算し、申告と納税を自主的に行う「申告納税制度」に基づいています。このため、計算ミスをする可能性があります。本記事では、確定申告でミスをした場合の適切な対処方法、修正するための期限、およびミスを放置した際に発生する可能性のあるペナルティについて詳しく説明します。
【結論】確定申告は修正可能
確定申告書を提出した後に間違いに気づいた場合でも、修正することが可能です。所得税の確定申告では、収入や経費を自分で計算し、その結果に基づいて所得税を納める必要があります。このプロセスには、帳簿や書類の作成も含まれます。しかし、計算ミスや帳簿の誤りが発生することがあります。間違いを発見したら、迅速に修正申告を行うことが重要です。
参考:Q20 確定申告の内容が間違っていた場合、どのような手続をすればよいのでしょうか(国税庁)
確定申告の修正方法は3種類
確定申告の訂正方法には3つの種類があり、どの方法が適用されるかを判断する必要があります。これらの方法を理解すれば、間違えても慌てる必要はありません。訂正申告、更正の請求、または修正申告のいずれかに該当します。
訂正申告
訂正方法のうち、申告期限前であれば「訂正申告」を適用することが可能です。申告期限内であれば、訂正申告を行うことで申告内容を訂正できます。税務署は、申告期限内に同一人物から複数の確定申告書が提出された場合、最後に提出された申告書を正式なものとして取り扱います。期限内であれば、間違いを訂正して再提出するだけで問題ありません。すでに期限を過ぎている場合は訂正申告はできませんので注意が必要です。
更正の請求
更正の請求は、確定申告期限後に申告した税額が実際より多かった場合に正しい額に訂正する手続きです。この手続きは、税額を減少させる場合に行います。
修正申告
修正申告は、確定申告書期限後に税額を少なく申告していたことに気づいた場合に、正しい金額に訂正する手続きです。この場合、過少申告加算税を支払う必要があります。
確定申告の期限前に修正する場合
確定申告の期限前であれば、訂正申告が可能です。これは、二度手間になるデメリットはありますが、余分な税金を支払うことがないため安心です。不明点がある場合は税務署に問い合わせると良いでしょう。
税務署へ直接資料を提出した場合
確定申告の期限前に訂正する場合、いくつかの方法があります。税務署へ直接資料を提出した場合は、税務署に資料を再提出して申告書を訂正する必要があります。最初に直接持参したのであれば、訂正したものも同じ方法を選ぶことが望ましいです。時間と手間がかかる作業なので、申告書に間違いがないよう何度も確認することが大切です。必要に応じて、税理士に書類の作成を依頼する方法もあります。自分で作成する場合は費用がかかりませんが、税理士に依頼する場合は費用が発生するため注意しましょう。
e-Taxで確定申告を行った場合
申告の期限前に間違いに気づいた場合、最初に行った方法と同じ手続きを選ぶと良いです。e-Taxで提出した場合、訂正して再提出する際もe-Taxを利用する方が簡単です。国税電子申告・納税システムは、納税や申請、届出などをパソコンで入力して行うため、手軽に利用できます。操作性が向上しており、以前よりも簡単に利用できるため、今後ますます利用者が増えるでしょう。期限前に訂正する場合、申告書の準備を早めに始めることが大切です。
還付申告の場合
還付申告を利用すると、納め過ぎた税金が戻ってきます。所得税を過大に申告することは少ないと考える人も多いですが、忙しい時期には間違いが起こりやすいため注意が必要です。会社を退職した年は年末調整を受けられず、結果的に税金を納め過ぎていることが多いため、還付申告を活用することを考えましょう。年末調整を受けられなかった場合は、還付申告が可能か確認すると良いでしょう。不明な点があれば税務署に直接問い合わせることをお勧めします。申告義務がない場合は、ケースバイケースで申告を考えることが大切です。
確定申告の期限後に修正する場合
確定申告の期限後に修正する場合は、更正の請求と修正申告の2つの方法があります。税金が戻ってくる場合は積極的に取り組みたいですが、追加納税が発生する場合は気が進まないこともありますが、ルールですので対応が必要です。
還付がある場合:更正の請求
更正の請求は、確定申告の期限を過ぎてしまった場合の訂正手段の1つです。期限後でも更正の請求を行うことで、税務署が正式に書類を認めれば還付金を得ることができます。還付金が得られない場合は、申告しなくても良いこともあります。再提出時には間違いがないようにしっかりと確認しましょう。
追加納税がある場合:修正申告
確定申告の期限後に修正申告を行う場合、所得税および復興特別所得税の修正申告書を用意し、専用の手続きを行う必要があります。訂正後の税額や以前提出した確定申告書の異動事項などを記載するため、記入漏れや間違いがないように注意して作成しましょう。
確定申告の間違いを税務署から指摘された場合は?
確定申告の間違いを税務署から指摘された場合も、修正申告を行う流れは同じです。延滞税に加えて過少申告加算税も支払うことになるため、通常よりも多くの税金を納める必要があります。最初から正確に申告することが重要です。
過少申告加算税
確定申告の間違いを税務署から指摘された場合は、過少申告加算税を支払うことになります。過少申告加算税は、本来の所得税に対して10%から15%加算されるため、負担が大きくなります。税務署の調査で悪質な申告と判断されると、40%程度の税金が加算されることもあるため、最初から正直に申告することが望ましいです。
無申告加算税
無申告加算税は、確定申告をしていない場合や、税務署から指摘を受けた場合に課されることがあります。過少申告加算税と似ていますが、適用されるケースは限られています。無申告加算税は比較的稀なケースですが、申告しないことにはリスクが伴うため、申告が必要な場合は適切に対応しましょう。
確定申告書等作成コーナーでの修正方法
確定申告書の修正は、確定申告書等作成コーナーのオンラインツールを利用して行うことが可能です。トップページにある「提出した申告書に誤りがあった場合」セクションから、「新規に更正の請求書・修正申告書を作成する」オプションを選び、正確な申告書を作成します。修正申告書の具体的な作成手順は、提出方法により異なるため、選択した提出方法に応じて画面の指示に従ってください。e-Taxを使用する場合は、修正申告書の作成だけでなく、オンラインでの提出(送信)も可能です。
確定申告で修正が起こりやすい事例
確定申告での間違いは、後で修正が必要となり手間と時間がかかります。初めから正確に申告することを心掛けましょう。特に注意が必要なケースを2つ紹介します。
1つ目は、売上や仕入れの計上漏れです。個人事業主の場合、売上や仕入れは実際にお金が動いた日ではなく、取引が行われた日に計上します。銀行の通帳の記録だけを頼りにしていると、記入漏れが生じることがあります。取引があった際には都度、記帳する習慣をつけることが大切です。
2つ目は、利用可能な控除の記入忘れです。所得控除や税額控除には多種多様なものがあり、これらを忘れてしまうと、結果的に多くの税金を支払うことになりかねません。どのような控除があるのかをしっかりと把握し、申告時には漏れなく記入しましょう。
確定申告の修正に関するよくある質問
最後に、確定申告の修正に関するよくある質問と回答をまとめました。
修正申告の期限は?
修正申告には特定の締め切りはありませんが、誤りに気づいたらできるだけ早く対応することが必要です。所得税の納税期限は通常、確定申告の締め切り日です。もし確定申告後に申告した税金が実際よりも少なかったことに気づいた場合、本来の納税期限までに正しい額を納税していないことになり、これは延滞と見なされます。この状態を放置すると、延滞税が発生し続けます。もし税務署の検査でこの間違いが見つかった場合、延滞税に加えて過少申告加算税が課される可能性があります。延滞期間が長いほど、これらの税金は増加します。そのため、間違いに気づいたら迅速に修正申告を行い、正しい税金を納めることが大切です。
修正申告時のペナルティは?
修正申告をするとき、遅れた分の延滞税がかかることがあります。もし税務署からの指摘を受けてから修正申告をする場合、「過少申告加算税」が、期限内に申告をしていなかった場合は「無申告加算税」が、そして帳簿を改ざんするなど不正行為があった場合は「重加算税」がそれぞれ課される可能性があります。間違いを放置したり、隠したりすると、追加される税金の額が大きくなるため、誤りに気づいた際は、速やかに正直に修正申告を行うことが重要です。
確定申告の修正まとめ
確定申告に関する素朴な疑問は意外と多く、インターネットで調べても難しい用語ばかりで理解できないという人も多いです。詳しい人に聞いてみたいけど、「そんなことも知らないの」と思われたくないという意見も多いです。恥ずかしくて聞くことが出来ないという人のために、今回は分かりやすく解説しました。確定申告は修正できますし、その方法は三つあります。期間内であれば訂正申告で済ませることができます。特に罰則などは無く、手間がかかるだけです。期限を過ぎている場合は更正請求と修正申告の二つの方法しかないです。この場合は過少申告加算税や延滞税が発生することがあるので、本来支払うべき所得税よりも余分に税金を納めなくてはいけないです。
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