自己資金で全てを賄うのは難しいもの。融資、増資、補助金などから最適な方法を選び、事業を展開することが重要です。
資金調達の基礎知識
まずは自己資金での起業を検討
起業の際に大きな壁となるのが資金調達です。新しく始めた事業が数年で廃業することも多いため、リスクをできるだけ抑えたいものです。そのためには、必要な経費をすべて自己資金で賄うことが最善です。
借り入れを行う場合、事業実績がない段階で審査を通過するのは難しい上、融資を受けた後は返済に追われることになります。自己資金で起業することで、返済や金利の負担がなくなり、経営に余裕が出ます。ただし、保有している資産には限りがあるため、自己資金を貯めるまで起業が遅れる可能性もあります。
資金調達方法の選び方
資金調達の必要性は、事業の規模やビジネスモデルによって異なります。ここでは、ベンチャー企業とスモールビジネスの2つのビジネスモデルについて考えてみます。
ベンチャー企業では、タイミングとスピードが成功の鍵を握っています。開発先行型になることが多く、初期段階で多額の資金が必要です。数年間の赤字を覚悟した上で、その後の黒字化を目指すことになります。そのため、ベンチャー企業では資金調達の必要性が高いと言えます。
一方、飲食店などのスモールビジネスでは、開業当初から売上を目指し、黒字化を目指す必要があります。ベンチャー企業に比べて、早期に売上が見込めるため、必要に応じて金融機関からの融資を検討することが一般的です。
資金調達の3つの方法
出資
出資は、投資家が現金と引き換えに株式を取得する方法です。企業は得た資金を事業の成長に活用しますが、返済の必要はありません。これにより、安定した資金を確保できます。投資家は企業の利益が上がれば配当金を受け取り、業績が好調で企業価値が上昇すれば、株式を売却して利益を得ることも可能です。
融資
融資は、金融機関から借入をすることを指します。日常生活の借金とは異なり、事業を目的とした借入であり、収益を上げることが最終目標です。資金繰りが悪化している状態で融資を受けるのは難しいため、余裕があるときに検討するのが賢明です。
補助金・助成金
補助金や助成金は、政府や地方自治体が公益に資する事業に対して交付する現金です。返済義務がないのが特徴です。補助金はあらかじめ予算額が決まっており、支給条件を満たしても予算が終了している場合は支給されないことがあります。助成金は条件を満たせば支給されるため、特に中小企業や創業間もないベンチャー企業に人気です。
資金調達方法①:出資(エクイティファイナンス)
出資による資金調達の方法
公募(時価発行増資)
公募(時価発行増資)は、時価で新株を発行して資金調達する方法です。市場価格で新株を発行できるため、株価が高ければ少ない新株で多くの資金を調達できます。しかし、条件を満たせば誰でも株主になれるため、経営方針に影響を及ぼす株主が増えるリスクがあります。
株主割当増資
株主割当増資は、新株を発行する際に既存の株主に保有株数に応じて割り当てる方法です。株主には割り当てに応じる義務はなく、応じなかった権利は失効します。時価より割安で発行されるため、調達できる金額は公募に比べて少ないですが、経営に影響を与える株主の増加を防ぐことができます。
第三者割当増資
第三者割当増資は、株主かどうかに関わらず特定の第三者に新株を割り当てる方法です。取引先や業務提携先との関係を強化する際や、時価が低いため通常の増資が難しい場合に利用されます。第三者割当増資は、特定の株主の影響力が強まる可能性があります。
出資を受けるメリット・デメリット
メリット
- 返済義務がない
- 自己資本比率が上がる
- 利息の負担がない
出資には公募や第三者割当、株主割当などの方法がありますが、メリットとデメリットを考慮して最適な方法を選ぶことが重要です。出資を受けることで得られる資金には返済義務がなく、融資を受ける場合とは異なります。利息の支払いも不要であり、借入ではないため自己資本比率を高められます。自己資本比率が高いと、財務の健全性を示すことができ、新規融資を受けやすくなります。
デメリット
- 株主の経営干渉
- 投資契約による経営の自由度低下
- 株主への配当金支払い義務
出資は、ベンチャーキャピタル(VC)や個人投資家(エンジェル投資家)から返済不要のお金を受け取る方法です。VCは、株式の上場を目指し、経営支援や取引先の開拓などに積極的に関与します。設立当初のベンチャー企業は銀行からの融資を受けにくいため、VCからの出資は大きなメリットとなります。ただし、経営方針への干渉や、配当金の支払いが必要になるデメリットもあります。
資金調達方法②:融資(デットファイナンス)
融資による資金調達の方法
銀行借入
融資は銀行借入のことで、事業ローンなどが一般的です。金融機関と交渉し、審査を通過すると融資契約が結ばれます。事業実績がない場合、公的保証機関と提携して融資が実行されることもあります。
シンジケートローン
シンジケートローンは複数の銀行が協力して融資を行う方法で、「協調融資」とも呼ばれます。一社ではリスクが高い案件を複数の金融機関が共同で引き受けます。銀行が共同で融資を行い、条件を設定してリスクを分散します。
社債の発行
社債は企業が第三者に対して債券を発行し、資金を調達する方法です。銀行を介さずに直接資金を集めるため、「直接金融」と呼ばれます。社債のメリットは、株式と異なり経営に干渉されずに資金を調達できることです。
私募債発行
私募債は、50人未満の投資家を対象に発行される社債の一種です。公募債とは異なり、少数の投資家から資金を募ります。ベンチャー企業でも実施できるため、銀行融資に代わる資金調達方法として注目されています。
融資を受けるメリット・デメリット
メリット
- 株主の経営干渉を避けられる
- 節税効果がある
- 融資の選択肢が豊富
融資は、銀行などから資金を借りる方法で、株主の増加による経営干渉を避けられます。融資で支払う利息は損金として計上できるため、節税効果もあります。また、銀行融資だけでなく、社債発行など様々な選択肢があります。
デメリット
- 返済義務がある
- 利息が発生する
- 自己資本比率が下がる
融資には返済義務があり、毎月一定額を返済する必要があります。返済が遅れると信用を失い、法的措置を取られる可能性もあります。利息はコストとなり、厳しい条件での融資を受ける場合もあります。また、借入は他人資本となるため、自己資本比率が低下し、資金力の低い企業と見なされるリスクがあります。
資金調達方法③:補助金・助成金
補助金を受給して資金調達する方法
地域創造的企業補助金
地域創造的企業補助金は、経済産業省が交付するもので、地域経済の活性化を目的としています。創業に必要な資金を支援し、新たな需要を開拓する事業を助成します。
事業承継補助金
事業承継補助金は、中小企業が事業承継をきっかけに新たな事業展開を促進するための補助金です。事業承継が円滑に進むよう支援し、地域経済の振興を目的としています。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、経営計画に基づいた販路開拓に対して支給される補助金です。商工会議所の指導や助言を受けながら、事業の持続的展開を支援します。
助成金を受給して資金調達する方法
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金は、厚生労働省が提供する助成金で、非正規労働者のキャリアアップを支援します。正社員化や人材育成、待遇改善を目的に複数のコースが用意されています。
まとめ
起業や事業展開には自己資金での資金調達も可能ですが、成長を目指すなら外部からの資金調達が必要です。資金調達には、融資、増資、補助金・助成金の3つの代表的な方法があります。ベンチャー企業やスモールビジネスなど、事業の特性に応じて適切な方法を選び、効果的なビジネス展開を目指しましょう。
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