株式投資や投資信託などで利益を得た場合、納税額を減らすために重要な役割を果たす「配当控除」について解説します。この控除制度をうまく活用すれば、節税効果を最大限に享受することができます。本記事では、配当控除がどのように機能するのか、確定申告が必要なケースや申告をすることで税金が還付される場合についても詳しく説明します。配当控除の計算方法についても具体的にご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
配当控除とは
配当控除は、株式や投資信託から得た配当所得を対象に納税額を減らすことができる控除制度です。所得税や住民税から直接控除できるため、非常に効果的な節税手段となります。最大で配当所得の10%を控除することができるため、節税効果は大きいです。
配当控除の対象になるもの
以下のような配当金が控除の対象になります:
- 日本国内に本店がある法人から受け取る剰余金
- 利益の配当
- 剰余金の分配
- 金銭の分配
- 証券投資信託の収益の分配
配当控除の対象とならないもの
一方、以下のような配当金は控除の対象外です:
- 基金利息
- 私募公社債等運用投資信託等の収益の分配
- 国外私募公社債等運用投資信託等の配当
- 外国株価指数連動型特定株式投資信託の配当
- 特定外貨建等証券投資信託の配当
- 適格機関投資家私募による投資信託の配当
- 特定目的信託からの配当
- 特定目的会社からの配当
- 投資法人からの配当
- 確定申告不要制度を選択したもの
- 申告分離課税制度を選択したもの
外国株式やETFは、外国税額控除の対象となり配当控除は適用されません。
配当所得の確定申告は必要?
証券会社で特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合、所得税と復興特別所得税、住民税が配当金から自動的に徴収されるため、確定申告は基本的に不要です。しかし、損失が発生した場合や証券会社が源泉徴収をしていない場合は、確定申告が必要です。
確定申告が必要なケース
確定申告が必要な場合は、配当所得を含むすべての所得を合計し納税額を計算します。配当控除を受けるためには総合課税を選択し、他の所得と合算して税率を決定します。特定口座(源泉徴収なし)を選択した場合も確定申告が必要です。給与所得以外の所得が20万円を超える場合は、証券会社の年間取引報告書を基に申告を行いましょう。
必要書類:
- 確定申告書
- 源泉徴収票
- 控除証明書
- 所得証明書
- 経費証明書
確定申告にはマイナンバーや運転免許証も必要です。還付を受ける場合は銀行口座の用意をお忘れなく。
提出期限: 毎年3月15日(休日の場合は次の営業日)
特定口座(源泉徴収あり)を選択している場合は不要
特定口座(源泉徴収あり)を選択した場合、所得税、復興特別所得税、住民税がすでに徴収されているため、確定申告は不要です。
確定申告をした方がお得な場合もある
所得税率が源泉徴収された税率よりも低い場合、確定申告をすることで税金が還付される場合があります。株式や投資信託で損失がある場合も、確定申告を行うと有利です。申告分離課税を選択すると、配当金と売却損を損益通算できるため、節税に繋がります。
配当控除の計算方法
総合課税、申告分離課税、投資信託の分配金の控除についての計算方法を詳しく説明します。
総合課税の場合
総合課税では、配当所得を給与所得、事業所得、雑所得などと合算して税額を計算します。年間所得の総額が1,000万円以下である場合、配当所得の10%を控除できます。
例えば、年間所得が600万円で配当所得が100万円の場合、100万円の10%である10万円を所得税から直接差し引くことが可能です。住民税については、配当所得に2.8%を掛けた金額が控除対象となるため、配当所得が100万円の場合には2万8千円の控除が受けられます。
配当所得以外の年間所得の合計が1,000万円を超えると、控除率は低下します。所得税の控除率は5%、住民税の控除率は1.4%になります。上記の例で計算すると、所得税では5万円が控除され、住民税では1万4千円が税額から控除されます。
申告分離課税の場合
申告分離課税では配当控除は適用されませんが、損益通算や損失の繰越が可能です。株式投資で損失が出た場合、申告分離課税を選択し確定申告することで節税に繋がります。
投資信託の分配金の控除額
投資信託から得られる分配金も、年間所得を合算して税額を算出します。年間所得の総額が1,000万円以下であれば、5%の控除が可能です。
たとえば、年間所得が500万円で、配当所得が40万円の場合、40万円に5%を掛けた2万円が所得税から直接差し引かれます。住民税については、配当所得に対して1.4%を掛けた金額が控除対象となるため、配当所得が40万円の場合には5,600円の控除が受けられます。
配当所得以外の所得の合計が1,000万円を超える場合は、控除可能な税率が低下します。所得税は2.5%、住民税は0.7%になります。上記の例を用いると、所得税の控除額は1万円で、住民税は2,800円が税額から差し引かれます。
さらに、投資信託は国内外のさまざまな投資商品を組み合わせており、株式のほかに債権、不動産、金(ゴールド)なども含まれます。株式以外の商品や、外貨建て資産の割合に応じて控除額が変わることがありますので、確定申告を行う際には投資信託の目論見書を確認することが重要です。
配当控除の注意点
配当控除を活用する際の注意点を以下に詳しく解説します。
国民健康保険料が高くなる場合がある
配当控除を活用し総合課税を選択すると、所得が増えるため国民健康保険料が上昇する場合があります。自治体により計算方法が異なるため、納税額と保険料のバランスを確認してから申告しましょう。
扶養から外れる可能性がある
配当控除により所得が増え、配偶者や親の扶養から外れる可能性があります。扶養控除は38万〜63万で、年齢や同居の有無により異なります。扶養に入っている場合、配当控除を活用するか事前に確認してください。
住民税の申告
配当控除を活用すると住民税の税率が5%から10%に上がり、納税額が増える可能性があります。控除を受ける際は、所得税と住民税の合計納税額を確認してから活用しましょう。
配当控除の選択に注意が必要
配当控除をうまく活用することで、株式投資や投資信託での所得税や復興特別所得税の納税額を減らすことができます。しかし、国民健康保険料や住民税が増える可能性もあるため、事前に全体の納税額を確認してから制度を利用してください。配当控除を適切に活用することで、賢く節税を行いましょう。
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