確定申告を代理で申請・提出する方法を知りたい方へ、必要な情報を提供します。申請時に必要な書類や注意点、メリットとデメリットについて詳しく解説します。
確定申告は代理で申請・提出できるのか?
結論として、確定申告を代理で申請・提出することは可能です。ただし、依頼内容によっては税理士にのみ依頼できる場合もあります。依頼時の注意点を事前に理解しておくと良いでしょう。
原則、確定申告ができるのは本人または税理士のみ
法律では、本人の代わりに確定申告できるのは税理士と定められています。税理士または税理法人以外の人(本人を除く)が申告を行うと、法律に抵触する恐れがあります。
税理士法は、税理士の業務範囲を税務代理(納税者の代わりに税金の申告・申請を行うこと)、税務書類の作成(確定申告書などを作成すること)、税務相談(税金の計算や節税に関する相談に応じること)と定めています。
資格を持たない人がこれらの業務を行うことは禁止されているため、有償・無償を問わず注意が必要です。
代理で依頼する際の注意点
確定申告を代理人に任せる場合、申告書の提出など税務代理に該当しない作業は他の人に依頼可能ですが、事前に打ち合わせをしておくことが重要です。
例えば、代理で依頼された人が税務署に書類を提出する際、税務署員から「なぜあなたが代理なのか」と聞かれることがあります。依頼者が代理で行ったことを正直に伝えても、税務署が業務のすべてを代理で行ったと誤解し、書類が受理されない可能性もあります。
税理士法に違反していると見なされると、トラブルに発展することがあります。依頼者には、代筆や提出のみを行っていることを理解してもらいましょう。
代理人に条件はあるのか?
確定申告の書類を代理で提出する代理人に特別な条件はありません。しかし、重要な書類を任せる以上、信頼できる人を選ぶことが重要です。
配偶者が代理人の場合
配偶者が代理で税務署に書類を提出するケースはよくあります。税務署は配偶者を本人に最も近い存在と見なすことが多いため、受理される可能性が高いです。配偶者が医療費の領収書を持参し、その場で申告書を作成することもあります。
親族が代理人の場合
配偶者の次に代理人として適任なのは親族です。親族といっても、実の両親や遠縁の親戚などがありますが、本人に近い親族であるほど好ましいとされています。申請書提出の際には、念のため身分証明証を持参し、なぜ本人の代わりに提出することになったのかを説明できると良いでしょう。
友人が代理人の場合
税務署にとって友人は配偶者や親族よりも信頼度が低く、適任とは言えません。本人がいくら親友であると主張しても、税務署は単なる友人として扱うことがあります。どうしてもという場合は、依頼を受けた理由や納得のいく経緯を説明できる準備をしておく必要があります。
税理士法人以外の法人が代理人の場合
申告書の提出を税理士法人以外の法人に依頼することも可能ですが、税務署は法人を事業所として見なすため、業務の一環として解釈される可能性があります。依頼した法人が税理士法違反に問われると、大きな問題に発展する可能性があります。法人が営業目的で行わないと主張しても、法的なリスクを排除できないため、依頼しないほうが賢明です。
確定申告対象者が海外在住の場合
仕事で長期間海外に滞在している人は、所得税が発生しないため、日本での確定申告は不要です。しかし、日本に居住していて出張などで海外にいる場合は、申告が必要です。
この場合、代理人(納税管理人)が必要となります。納税管理人は、本人に代わり所得税・消費税の納税管理人の届出書を作成し、税務署に提出します。納税管理人は税理士でなくても、個人や法人であれば問題ありません。
代理人が確定申告書を作成する場合の条件
ここでは、代理人が確定申告書を作成できる2つのケースについて解説します。
税理士に依頼する場合
確定申告書は本来自分で作成するものですが、難しい場合や時間がない場合は税理士に依頼することができます。
税理士は税務の専門家であり、税務代理や税務書類の作成、税務相談を行います。そのため、確定申告書の作成を税理士に依頼することが可能です。全ての書類作成を任せることも、確定申告だけを依頼することもできます。いずれの場合も、税理士による正確な確定申告が期待できます。
参考:6 税理士法違反行為(税理士法違反行為)
本人が精神疾患を抱えている、または判断能力が低下している場合
認知症や精神疾患などで判断が難しい状態にある人は、「成年後見人制度」を利用して、他の人に確定申告を含む様々な手続きを代行してもらうことが可能です。この制度を利用するには、本人の住所地を管轄する家庭裁判所で申し立てを行います。
成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などで自己の事務を適切に処理することが難しい人をサポートし、その財産や意思決定を守るためのものです。
この制度には2つのタイプがあります。「任意後見制度」は、本人が事前に信頼できる人を選んで、将来的に必要な判断を代わりに行ってもらうものです。「法定後見制度」は、本人が自分で物事を決めるのが難しくなったときに、家庭裁判所が後見人を指定して支援を提供するものです。
参考:成年後見等の申立てに必要な書類等について(家庭裁判所への申立て)
代理で確定申告する際のマイナンバーの取り扱い
確定申告書にはマイナンバーが必要であり、依頼を受けた税理士は依頼人のマイナンバーを預かります。マイナンバーは確定申告書に記入する以外の用途で使用することが禁止されているため、慎重に取り扱う必要があります。
税理士以外の代理人も、マイナンバーの取り扱いには十分注意します。書類提出時に必要なため預かるだけで、マイナンバーの控えやコピーを取ることは絶対に避けましょう。
確定申告を代理することのメリット・デメリット
確定申告を代理人に依頼する場合、依頼相手によってさまざまなメリットやデメリットがあります。時間や費用の面でのメリット・デメリットを事前に把握し、依頼するかどうかを決定することが賢明です。
代理申請のメリット
確定申告を代理人に依頼するメリットを2つ紹介します。
正確な申告が行える(税理士に頼む場合)
税理士に依頼するメリットは、税金の計算や必要書類の作成を任せることで、負担を軽減できる点です。毎月の収入が一定で経費もほとんど変わらない場合は負担が少ないかもしれませんが、収支が変動し計算が複雑な場合がほとんどです。
また、税金のルールが変更された場合も、税理士は最新の情報を基に処理するため、正確な確定申告が期待できます。
費用がかからない(家族に頼む場合)
配偶者や家族に申告を依頼するメリットは、費用がかからないことです。税務に関する業務を依頼することはできませんが、申告書を代筆したり提出したりすることは可能ですので、作業を依頼することで負担を軽減できます。
申告はe-Taxを使っても可能ですが、パソコン操作が苦手な人にとっては使いづらい方法です。しかし、パソコン操作が得意な家族に手伝ってもらえば、申告を短時間で済ますことができ、時間的・経済的なメリットがあります。
代理申請のデメリット
確定申告を代理するデメリットを2つ紹介します。
費用がかかる(税理士に頼む場合)
税理士に業務を依頼する場合、当然ながら費用がかかります。書類作成の費用は税理士事務所によって異なりますが、個人事業主や小規模事業所にとっては高いと感じることもあります。
税理士事務所の多くはホームページに必要経費を掲載しているため、おおよその金額を把握できます。作業を税理士に丸投げするほど費用がかかりますが、会計ソフトなどを使ってある程度まで作業を進めていると安くなります。
税務署にチェックされる可能性がある
申告書の提出を税理士以外の人に依頼する場合、税務署のチェックが厳しくなることがあります。配偶者や親族が本人の代わりに税務署を訪れることはよくありますが、代理人となった理由をうまく説明できないと、不受理の可能性が高まります。
知人や法人に依頼する場合は、チェックのリスクがさらに高くなります。申告書は税務署を訪れて提出する必要はないため、完成した申告書は郵送したほうが無難です。
代理人による確定申告のまとめ
確定申告を本人の代わりに行えるのは税理士のみです。しかし、すべての業務を税理士に任せる必要はなく、申告書の代筆や提出は他の人に依頼できます。この場合、代理人に特別な規定はありませんが、配偶者や親族に依頼するのが無難です。知人や法人に依頼する方法もありますが、税務署に本人の意思が反映されているか疑問を持たれることが多いため、得策とは言えません。
申告書の作成や提出を代理で行う人は、本人からマイナンバーを預かりますが、重要な個人情報ですので取り扱いには十分注意しましょう。
申告書を他の人に依頼することには、メリットとデメリットがあります。業務の正確さやコスト、作業負担の軽減、不受理のリスクなど、さまざまな面から慎重に検討し、依頼するかどうかを判断することが求められます。
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