個人事業主が家賃を経費にする方法を解説!経費計上できるもの・できないものも徹底ガイド

法人・個人事業主の税
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個人事業主は、事業用に使っているスペースの家賃を経費として計上することが可能です。家賃を経費として計上することで節税が期待できるため、正確な按分方法や必要な書類を理解しておくことが大切です。この記事では、家賃の経費計上に関する基本的なルールや計算方法、注意点、さらには経費にできるものとできないものを詳しく解説します。

個人事業主やフリーランスが自宅を事務所として使っている場合、家賃や光熱費の一部を経費として計上することができます。これは、事業に必要な支出を経費として計上できるという原則に基づいています。しかし、全額を経費にできるわけではなく、「家事按分」により業務に関連する部分のみを計上します。按分の正確さが重要であり、税務署から指摘を受ける可能性があるため、証拠書類や計算方法をきちんと残しておくことが必要です。

自宅が事務所の場合

自宅を事務所として利用している場合、家賃、管理費、契約更新費、火災保険料などの一部を経費として計上できます。ただし、これらを経費とするには「家事按分」の概念が適用されます。

家事按分とは、事業と私的な用途が混在する支出を業務に対応する部分だけ経費として認める方法です。例えば、自宅全体が80平方メートルで、そのうち20平方メートルを事務所として使用している場合、家賃の約25%が経費として計上できます。この計算は簡単に見えますが、根拠となる資料(平面図や契約書)が求められることが多いです。また、光熱費やインターネット料金も同様に按分が必要です。

国税庁の指針によると、按分割合が50%を超える場合でも、それが適切である根拠を示すことが求められます。青色申告・白色申告のいずれでも、按分の正確性が問われます。

最新情報として、税務調査での指摘が増えており、特に按分基準の曖昧さが原因で否認されるケースが報告されています。適正な基準を設け、領収書やメモで経費の根拠を残しておくことが大切です。

自宅と事務所が別の場合

自宅と別に事業専用の事務所を借りている場合、事務所の家賃を全額経費として計上できます。この場合、按分の必要はなく、契約書や領収書が証拠として重要になります。勘定科目は「地代家賃」として処理されます。

ここで注意すべきは、事務所が家族や親族の所有物である場合です。例えば、事務所の家主が配偶者や親族であり、生計を共にしている場合、家賃の経費計上が制限される可能性があります。配偶者控除や親族への支払う賃料が税務上否認されるケースもあるため、契約内容と支払い実態に注意する必要があります。

また、個人事業主が法人化を検討している場合、法人契約の方が節税効果が高まるケースもあります。これは、事務所の賃貸料を法人の経費とすることで、法人税の負担を減らせるためです。

バーチャルオフィスの場合

近年、個人事業主やスタートアップ企業がバーチャルオフィスを利用するケースが増えています。バーチャルオフィスの使用料は、全額経費として計上することが可能です。法人でも個人事業主でも、この費用は「支払手数料」として経費計上できます。

ただし、自宅を事務所として使用している場合でも、バーチャルオフィスを使うことで住所の公開を避けるための費用として経費が認められます。この場合、自宅の家賃も按分して経費計上でき、バーチャルオフィスの費用も同時に計上可能です。

最新の動向として、バーチャルオフィスの利用が増える一方で、実態のないオフィスを利用している場合に税務署からの確認が厳しくなっています。実際に業務を行っている証拠として、使用契約書や利用実態を示す書類を揃えておくことが求められます。

家賃を経費計上する場合、按分計算が重要です。按分方法は大きく分けて「使用面積」と「使用時間」の2つの計算方法があります。

使用面積の割合で計算

家使用面積で按分するのは、最も一般的な方法です。例えば、総床面積が40平方メートルの家で、そのうち10平方メートルを事務所として使っている場合、家賃の25%を経費として計上できます。家賃が10万円の場合、25,000円を経費として計上できる計算です。

この方法は根拠が明確であり、税務署からも比較的受け入れられやすいです。平面図や写真で事務所スペースを明確に示すことで、按分の正当性を裏付けることが重要です。

使用時間の割合で計算

業務と生活空間が重なっている場合、使用時間に基づいて按分する方法も有効です。例えば、平日のうち8時間を仕事に使っている場合、週40時間の業務時間となります。1週間は168時間なので、約24%が業務時間ということになります。この場合、家賃が10万円なら、24,000円を経費として計上できます。

按分計算は家賃に限らず、光熱費、通信費、自動車関連費なども同様に適用できます。例えば、インターネットやガス代も同じ方法で按分することが可能です。

また、按分の正確性が求められるため、業務時間の記録家事と業務の区分を明確にすることが、税務調査において重要です。

青色申告と白色申告の違い

青色申告と白色申告の違いは、経費計上の際に知っておくべき重要なポイントです。青色申告では最大65万円の控除を受けることができるため、事業者にとって大きな節税効果があります。一方で、白色申告にはこのような優遇措置はなく、よりシンプルな申告方法となりますが、税負担が増えることが多いです。

青色申告の主なメリットは、以下の通りです。

  • 最大65万円控除
  • 赤字を3年間繰り越せる
  • 家賃や通信費などの経費を詳細に記録できる

ただし、青色申告には複式簿記での記帳が義務付けられているため、会計ソフトを使用することをお勧めします。これにより、手間を減らしつつ、ミスを防ぐことができます。なお、令和5年度の税制改正により、青色申告の控除額や提出期限に変更が加わる可能性があるため、常に最新情報をチェックしましょう。

賃貸借契約書などの資料を保管しておく

経費計上する際、家賃支払いの根拠として賃貸借契約書は非常に重要です。この契約書は税務署に提出する可能性があるため、少なくとも退去後3年間は保管しておきましょう。さらに、更新契約書や支払い領収書も合わせて保管しておくと、経費に関する証拠として役立ちます。

特に、電子契約が普及している現在では、紙での契約だけでなく電子データの保存も求められることが多くなっています。電子帳簿保存法にも注意し、データの保管期間を確認しておくことが重要です。

賃貸契約は個人事業主名義で行う

個人事業主が家賃を経費計上するためには、賃貸契約が個人事業主名義であることが前提です。もし個人名義で契約している場合、事業に使用する割合のみ経費計上できるため、確実に事業主名義で契約を結びましょう。

社宅として従業員のために賃貸物件を借りる場合も同様で、契約者は事業主自身である必要があります。この際、転貸契約に注意し、事業主が適切な契約を行っているか確認しましょう。

敷金と礼金の扱い

敷金と礼金の違いを理解しておくことも重要です。敷金はあくまで保証金であり、退去時に返還されるため経費にはなりません。しかし、礼金は返還されないため、経費として計上可能です。

また、入居時に支払う更新料や修繕費用も経費計上が可能な場合がありますが、これらも事前に契約内容を確認しておくことが重要です。特に高額な礼金が発生する都心部などでは、支払金額が大きくなるため、経費計上時のルールを正確に把握しておきましょう。

個人事業主が経費として計上できるものは「事業につながる出費」であり、この条件を満たす限り、幅広い費用が経費として認められます。ただし、プライベートな支出との区別が難しい場合には、その支出が事業にどの程度関わっているかを明確にしておく必要があります。経費計上を正確に行うためには、領収書や証拠書類をしっかりと保存し、記録を取ることが肝心です。

経費にできるもの

個人事業主が経費にできるのは、業務に直接関連する支出です。以下に例を挙げます。

  • 租税公課:事業に関する税金(事業税、固定資産税、自動車税、不動産取得税、登録免    許税、印紙税など)は、経費として計上可能です。これにより、特に高額な税金がかかる事業を営む場合、節税効果が大きくなります。
  • 荷造運賃:商品の梱包資材(段ボール、ガムテープ)や、発送時の運賃・送料は経費になります。ネットショップを運営している事業主にとっては、この項目が重要です。
  • 水道光熱費:事業に使用する水道、ガス、電気代はもちろん経費に含まれます。自宅兼事務所の場合は、使用割合に応じた按分計算が必要です。
  • 旅費交通費:仕事で使うタクシー代、レンタカー、新幹線や飛行機の運賃、宿泊費が該当します。出張の多い個人事業主にとっては、年間で大きな経費になります。
  • 通信費:電話料金やインターネット回線代、郵便代なども経費として認められます。特に現在は、リモートワークが増え、Wi-Fiの利用が拡大していますので、通信費の適正な管理が重要です。
  • 広告宣伝費:パンフレット作成、ウェブ広告、SNSマーケティングの費用などがこれに含まれます。事業拡大に必要な費用として、積極的に活用することができます。
  • 接待交際費:ビジネスでの会合や食事会、ギフト代金なども経費となりますが、事業との関連性を明確にすることが必要です。過度な支出は税務署のチェックが厳しくなるため、注意が必要です。
  • 損害保険料:事業用の火災保険や自動車保険など、リスクマネジメントとして必須の経費です。
  • 修繕費:設備の維持や修理にかかった費用です。これにより、資産の価値を保つことができます。
  • 消耗品費:オフィス用品やクリーニング代など、日常的に使用する消耗品も経費に含まれます。
  • 減価償却費:パソコンやカメラ、自動車などの固定資産を購入した場合、購入金額を分割して経費に計上することができます。
    • 例:100万円のパソコンを5年で計上する場合、毎年20万円ずつ経費として計上します。
  • 福利厚生費:従業員の健康診断や慰労会、社員旅行などが含まれますが、個人事業主本人には適用されない点に注意が必要です。
  • 給料賃金:従業員に支払う給与や賞与、残業代などが対象です。なお、家族従業員に支払う給与も経費にできますが、専従者給与の制度を利用する必要があります。
  • 外注工賃:外部に業務を委託した際の支払いが該当します。外注を多く利用する業種では、この経費の割合が大きくなるでしょう。
  • 利子割引料:借入金やローンの利息も経費に含められます。これは資金繰りに悩む事業主にとって、活用すべき項目です。
  • 地代家賃:事務所や駐車場などの賃料も経費となりますが、自宅兼事務所の場合には按分が必要です。
  • 貸倒金:回収不能となった売掛金や貸付金も、一定条件のもとで経費として認められます。
  • 雑費:クレジットカードの年会費、振込手数料、ゴミ処理費用など、多種多様な小額支出が含まれますが、事業に関連していることが求められます。

経費にできないもの

一方で、経費計上が認められないものもあります。プライベートにかかる支出や個人用の税金などは経費になりません。

  • 生活費や私的支出:自宅の家賃や個人の飲食費
  • 個人の保険料:生命保険料や年金掛金
  • 個人用の税金:所得税や住民税
  • 家族への給料:同居する親族への給与
  • 私的借入金の返済:個人名義の借入金返済

これらを経費に含めてしまうと、不正計上と見なされる可能性があり、ペナルティの対象となります。

個人事業主は、家賃やその他の経費を適切に計上することで節税が可能です。特に青色申告を活用し、必要な書類や領収書を整備することで、より効率的な節税が期待できます。また、日々の記帳を徹底し、経費の根拠となるデータをしっかり管理することが重要です。

近年、電子申告の普及が進んでおり、領収書や経費記録のデジタル化が奨励されています。税務署は紙ベースの記録を依然として認めていますが、電子帳簿保存法の改正により、デジタル保存を行うことでより効率的な経費管理が可能になっています。また、AIやクラウド会計ソフトを活用することで、経費管理を自動化し、時間を節約することが可能です。

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