いまの顧問税理士に不満がある。でも、どう切り出せばいいか分からない。資料をちゃんと返してもらえるのか、税務署に何か出すのかも不安。この記事は、そういう人が今日から動けるように、手順・文例・チェックリストをそのまま使える形でまとめたものです。
この記事の内容は2026年10月5日時点の情報です。
先に結論です。
- 順番は「契約書を確かめる → 次の税理士を先に決める → いまの税理士に伝える → 資料を受け取る → 新しい税理士に渡す → 届出と電子申告の設定を直す」です。
- 委任の契約は、民法上いつでも解除できます。ただし予告期間や違約金は契約書の定めが先です。
- 国税庁の案内では、委任が終わったことを税務署に知らせる手続は税理士の側の手続です。納税者に届出を求める記載は見当たりませんでした。
- e-Tax の利用者識別番号は、新しく取り直さずに引き継ぎます。取り直すと、これまでの番号とメッセージボックスが使えなくなります。
税理士を変更する手順(6段階)
| 手順 | やること | 目安の時期 | 注意 |
|---|---|---|---|
| ①契約書を確かめる | 解約の予告期間、違約金、自動更新、決算料の扱い、通知の方法(書面かどうか)を読む | 変えようと思ったらすぐ | 契約書が見当たらなければ、事務所に写しを頼む。頼むときは「内容の確認のため」で足ります |
| ②次の税理士を先に決める | 面談して見積もりをもらう。引き継ぎの段取りと、どの申告から担当してもらうかを決める | いまの税理士に伝える前 | 先に解約すると、次の申告を頼める人がいない期間ができます |
| ③いまの税理士に伝える | 契約書の方法で解約を伝える。最後にどの申告まで担当してもらうかと、資料の返し方を決める | 予告期間より前。決算・申告が終わった直後が区切りやすい | 電話や面談で伝えた場合も、日付と内容が残るようにメールか書面を送る |
| ④資料を受け取る | 下のチェックリストで受け取る。預けた原本も返してもらう | 契約が終わる日まで | 会計データは、新しい税理士が読める形式かを先に聞いておく |
| ⑤新しい税理士に渡す | 受け取った資料とデータを渡し、足りないものを洗い出してもらう | 受け取ったらすぐ。次の申告期限から逆算する | 足りない資料は、前の事務所との契約が終わる前に頼むほうが話が早い |
| ⑥届出と電子申告の設定を直す | 新しい税理士が税務代理権限証書を出す。e-Tax・eLTAX の番号を引き継ぎ、暗証番号と登録メールを確かめる | 新しい税理士との契約が始まるとき | 前の税理士が電子通知を代理で受け取る設定になっていないかも確かめる |
変える時期の比較
法人の確定申告の期限は、原則として事業年度終了の日の翌日から2か月以内です。個人の確定申告は、原則として翌年2月16日から3月15日です。どの時期にも利点と注意があります。
| 時期 | 利点 | 注意 |
|---|---|---|
| 決算・申告の直後 | 1年分の申告書と決算書がそろい、区切りがはっきりする。新しい税理士が期の初めから担当できる | 予告期間によっては、申告が終わる前に伝える必要がある |
| 期の途中 | 不満をすぐ解消できる。次の決算まで時間があり、新しい税理士が期首からの帳簿を確かめる余裕がある | その期の決算料を前払いしていないか、途中までの記帳を誰が見るかを決める。顧問料が重なる月が出ることがある |
| 決算の直前 | いまの税理士の対応にどうしても不安がある場合、決算を新しい税理士に任せられる | 引き継ぎの時間が短く、受けてくれる事務所が限られる。民法651条では、相手に不利な時期の解除は、やむを得ない事由がなければ損害賠償の対象になります |
| 確定申告期(個人・2〜3月) | 申告をきっかけに見直しやすい | 新規の依頼を割増にしたり締め切ったりする事務所がある。例:2月1日以降25%、2月16日以降50%、3月1日以降100%の割増(河鍋公認会計士・税理士事務所)、翌年1月以降の契約は通常料金の1.25倍(伊藤雄一税理士事務所)、令和7年分は2026年2月13日で受付終了(近藤正臣税理士事務所) |
12月から1月は、年末調整のほか、給与所得の源泉徴収票などの法定調書(翌年1月31日まで)と償却資産の申告(1月31日まで)が重なります。従業員がいる会社は、この時期の担当者をはっきりさせてから切り替えてください。確定申告期の料金の詳しい比較は確定申告を税理士に頼む費用の記事にまとめています。
解約を伝える文例(メール2つ・書面2つ)
〇〇の部分を書き換えて使ってください。個人事業主の方は、会社名を屋号と氏名に置き換えます。理由は、書かなくても解約はできます。伝えるなら、相手への批判ではなく「自分の側の事情」として書くと角が立ちにくくなります。
文例1:メール(理由をぼかす)
件名:顧問契約の終了について
〇〇税理士事務所 〇〇先生
いつも大変お世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。
突然のご連絡で恐縮ですが、社内で検討した結果、〇年〇月〇日をもちまして税務顧問契約を終了させていただきたく、ご連絡いたしました。これまで決算や申告で大変お力添えをいただき、心より感謝しております。
契約書の定めに沿って進めたいと考えております。〇年〇月期の決算・申告までお願いできますでしょうか。あわせて、お預けしている書類のご返却と、申告書の控え・会計データのお受け取りについて、ご都合のよい日程と方法をお知らせいただけますと幸いです。
最後まで何卒よろしくお願い申し上げます。
文例2:メール(理由を伝える)
件名:顧問契約の終了について
〇〇税理士事務所 〇〇先生
いつも大変お世話になっております。株式会社〇〇の〇〇です。
このたび、〇年〇月〇日をもちまして税務顧問契約を終了させていただきたく、ご連絡いたしました。弊社では今期から〇〇(例:クラウド会計に切り替え、月ごとの数字を毎月の面談で確かめる体制)を整えることにいたしました。その体制に合わせて依頼先を見直した結果、別の事務所にお願いすることになりました。
長年にわたりご支援いただいたことに、心より御礼申し上げます。〇年〇月期の決算・申告まではお願いできますでしょうか。お預けしている書類のご返却と、申告書の控え・会計データのお受け取りについても、ご相談させてください。
最後まで何卒よろしくお願い申し上げます。
文例3:書面(理由をぼかす)
〇年〇月〇日
〇〇税理士事務所 〇〇〇〇先生
株式会社〇〇 代表取締役 〇〇〇〇
税務顧問契約解約のご通知
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、貴事務所との間で〇年〇月〇日付で締結しております税務顧問契約につきまして、同契約第〇条に基づき、〇年〇月〇日をもって解約いたしたく、ご通知申し上げます。
つきましては、下記のとおりお願い申し上げます。
- 最後のご担当:〇年〇月期の決算・申告まで
- お預けしている書類のご返却
- 申告書・決算書の控え、会計データ、固定資産台帳、届出書の控えのお引き渡し
長きにわたるご支援に、深く感謝申し上げます。敬具
文例4:書面(理由を伝える)
文例3の本文の2段落目を、次のように差し替えます。
さて、弊社では事業の拡大に伴い、〇〇(例:月次の経営報告を受けられる体制)を整えることといたしました。検討の結果、貴事務所との間で〇年〇月〇日付で締結しております税務顧問契約につきまして、同契約第〇条に基づき、〇年〇月〇日をもって解約いたしたく、ご通知申し上げます。これまでのご尽力に、改めて御礼申し上げます。
引き継ぎで受け取る資料のチェックリスト
前の事務所と新しい事務所の両方に見せながら確かめると、漏れが減ります。
| 確認 | 資料 | なぜ要るか |
|---|---|---|
| □ | 過去の申告書の控え(法人税・消費税・地方税、個人は所得税・消費税) | 前期の数字、繰越欠損金、中間申告や予定納税の計算に使う。法人の帳簿・書類の保存期間は原則7年なので、手元に無い年の分は控えがあるか聞く |
| □ | 決算書と勘定科目内訳書 | 期首の残高を正しく引き継ぐため |
| □ | 総勘定元帳・仕訳データ(会計ソフトのバックアップ) | 次の期の記帳を続けるため。帳簿は自社に保存の義務がある |
| □ | 固定資産台帳 | 減価償却の計算を続けるため。償却資産の申告にも使う |
| □ | 届出書・申請書の控え(青色申告の承認申請、消費税の簡易課税の選択、インボイスの登録、源泉所得税の納期の特例、申告期限の延長など) | どの届出が出ているかで、申告の方法が変わるため。たとえば簡易課税は届出を出した事業者だけが使える |
| □ | e-Tax の利用者識別番号、eLTAX の利用者ID | 新しく取り直すと、e-Tax ではこれまでの番号とメッセージボックスが使えなくなるため |
| □ | 年末調整・法定調書・償却資産の資料(源泉徴収簿、法定調書合計表、給与支払報告書、償却資産申告書の控え) | 1月31日の期限がある手続を続けて出すため |
| □ | 税務調査の記録(あれば) | 指摘された点を次の申告で踏まえるため |
| □ | 預けている原本(通帳、領収書、請求書、契約書、定款、登記事項証明書など) | 帳簿書類は自社で保存するもの。手元に戻しておく |
| □ | 会計ソフト・クラウドの契約名義と権限 | 事務所の名義の契約だと、解約後もデータを見られるかが事務所との取り決め次第になるため |
「難しい」と感じる理由と、実際の扱い
| 不安 | 実際の扱い |
|---|---|
| 言い出しにくい | 委任は各当事者がいつでも解除できます(民法651条1項)。予告期間や違約金は契約書の定めに従います。上の文例をそのまま使えば、伝える内容に迷いません |
| 資料を返してもらえるか | 税理士法には、関与先の書類の返還を直接定めた条文は見当たりません。民法646条は、委任を受けた人は委任事務で受け取った物を引き渡す、と定めています。預けた原本は返してもらうよう求めてください。事務所が作ったデータの扱いは、契約書を確かめて話し合います |
| 秘密が漏れないか | 税理士は業務で知った秘密を漏らしてはならず、税理士でなくなった後も同じです(税理士法38条)。事務所の職員にも同じ義務があります(同54条) |
| 費用が二重にかかるか | 期の途中で変えると、顧問料が重なる月が出ることがあります。違約金の有無は事務所ごとに違います。たとえば木村税理士・行政書士事務所は、違約金や解約不能期間が無いと公表しています。税理士事務所century-partnersは、解約違約金は生じない仕組みとしつつ、会社設立の際に司法書士報酬を事務所が負担した場合は、早期の解約でその分を請求するだろうと書いています |
| 税務署への届出が要るか | 国税庁の案内では、委任が終わった旨の通知は「税理士又は税理士法人」が出す手続です。納税者の側から知らせる「ときは」、個人は任意の様式、法人は原則として異動届出書に書く、とされています。新しい税理士は、税務代理をするときに税務代理権限証書を出します(税理士法30条) |
税務署への通知は義務とは書かれていませんが、出しておく意味はあります。権限証書を出している税理士には、税務調査の日時と場所も通知されるからです(税理士法34条)。前の税理士に委任の終了の通知を出してもらうか、自分で知らせるかを、解約のときに決めておくと安心です。
電子申告の設定で確かめること
- e-Tax の利用者識別番号を新しい税理士に伝える。新しく開始届出書を出すと、これまでの番号とメッセージボックスが使えなくなります。
- e-Tax では、税理士が代理送信する場合でも、納税者本人が暗証番号を登録(変更)することになっています。税理士が代理送信するときは税理士の番号で送るため、関与先の暗証番号が分からなくても送信はできます。前の事務所に暗証番号を預けていたなら、変更しておくと安心です。
- eLTAX の暗証番号の再設定の案内は、登録しているメールアドレスにしか届きません。前の事務所のアドレスで登録されていないか確かめます。
- 前の税理士が、予定納税額の通知などの電子通知を代理で受け取る設定になっていないかを、新しい税理士と確かめます。
次の税理士で同じ不満を繰り返さないための確認項目
面談の前に、いまの不満を一つずつ書き出し、それに対応する質問をしてください。
| 前の不満 | 面談で確かめること |
|---|---|
| 連絡が遅い | 返信の目安(何営業日以内か)と、連絡の手段(メール、チャット、電話) |
| 担当がよく変わる・所長に会えない | 担当者は誰か。税理士本人が見るのはどの場面か |
| 何をしてくれるのか分からない | 業務の範囲を契約書に書いてもらえるか |
| 料金が後から増えた | 決算料、年末調整、法定調書、消費税申告、税務調査の立ち会いの料金の一覧 |
| 数字の報告や提案が無い | 面談の頻度と、毎月の報告の中身 |
| 会計ソフトが合わない | 対応しているソフトと、データの移し方 |
| 業種に詳しくない | 同じ業種の顧問先があるか |
| 解約で苦労した | 解約の予告期間、違約金、自動更新の有無を最初に確かめる |
税理士として登録されているかは、日本税理士会連合会の「税理士情報検索サイト」で確かめられます。
いまの税理士に知られずに、次の候補を探せます
「税理士紹介をぶっ壊す」は、税理士を探す人が事務所のプロフィールを読んで自分で選び、直接問い合わせる場です。紹介会社ではありません。利用は無料で、紹介料や成約手数料はいただきません。
業種・地域・依頼内容(たとえば「法人の顧問、いまの税理士から切り替えたい、クラウド会計で月次の面談を希望」)を書いて相談を出すと、条件を見た税理士の側から声がかかります。メールアドレスや電話番号は、あなたが開示するまで税理士に伝わりません。いまの税理士に知られずに、条件だけ出して次の候補を探せます。比べて選ぶのはあなたです。
出典(確認日つき)
確認日はすべて2026年10月5日です。事務所の記載は各事務所が自分のサイトで公開しているページによります。
- 河鍋公認会計士・税理士事務所 料金ページ
- 伊藤雄一税理士事務所 料金ページ
- 近藤正臣税理士事務所 料金ページ
- 木村税理士・行政書士事務所(よくある質問) 顧問契約の解除手続について
- 税理士事務所century-partners(個人事業主のための税金サポート) 現在の税理士を解約して変更すると税務調査が入る?
- 国税庁 H2-2 税務代理権限証書に記載した税務代理の委任が終了した旨の通知書
- 国税庁 H2-1 税務代理の権限の明示
- 国税庁 C1-1 法人税、地方法人税及び防衛特別法人税の申告
- 国税庁 No.2020 確定申告
- 国税庁 法定調書の種類及び提出期限
- 国税庁 No.5930 帳簿書類等の保存期間
- 国税庁 No.6505 簡易課税制度
- e-Tax 税理士等が関与先の納税者の電子申告等開始届出書を送信する場合
- e-Tax 暗証番号を忘れたときの手続き
- eLTAX 暗証番号を再設定するときには
- e-Gov 法令検索 税理士法(第30条、第34条、第38条、第54条)
- e-Gov 法令検索 民法(第646条、第651条)
- e-Gov 法令検索 地方税法(第383条)
- 日本税理士会連合会 税理士情報検索サイト
条件を書いて、税理士から声をかけてもらう
業種・地域・相談したいことを書いて募集を出すと、合う税理士事務所から声がかかります。比べて選ぶのはあなたです。無料で、メールアドレスや電話番号は、あなたが開示するまで事務所に伝わりません。


